過失相殺と加害者側の重過失によって相殺率が修正されるケース

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

みなさんは、「過失相殺」という言葉をご存じでしょうか?

交通事故というのは、なにも加害者だけの責任で起きているわけではありません。

被害を負った被害者の不注意が原因で交通事故が起きている場合もあるのです。こういった場合、交通事故では過失相殺にて、一方だけが不利になってしまわないよう調整します。

今回は、この過失相殺について詳しくご説明していきましょう。

過失相殺とは?

過失相殺とは、簡単に言えば、交通事故発生時の双方の過失(不注意などのこと)の度合いに応じて、支払われる損害賠償金額を相殺(差し引き)により調整することです。

たとえば、交通事故の被害に遭ったのが歩行者で、入院が必要なほどの大けがであっても、歩行者が横断歩道のない路地を強引に突っ切ったとなれば、歩行者側に過失があると言えます。

こういった場合の損害賠償額の相場が100万円だったとして、加害者の過失が8割、被害者の過失が2割と判断されたとなれば、支払われる金額は80万円になってしまうということ。

交通事故では、この過失相殺によって不公平がないように調整しているのです。

事理弁識能力について

ただし、被害者側の過失の場合、「事理弁識能力」が備わっている必要があります。

事理弁識能力とは、物事について、その実態と結果を理解でき、自らの意思を発することができる能力のことです。

少し難しい言い方をしてしまいましたが、簡単に言えば、物事の善悪を判断する能力のことで、一般的には5~6歳程度の子どもであっても持ち合わせている能力です。

しかし、2~3歳程度の子どもとなれば、横断歩道すら理解できているとは言えません。

こういった場合は、本来監督していなければならない親権者の責任となります。

これを監督義務違反による過失相殺と言います。

このように、過失相殺といってもいくつかのパターンがあるため、ケースバイケースに判断していかなければならないのです。

加害者の重過失について

なお、加害者側において、過失の内容次第では、「著しい過失」や「重過失」と呼ばれ、もともとの過失相殺率を修正してしまうケースも存在します。

たとえば、「ひき逃げ運転」、「酒気帯び運転」、「電話しながらの運転」といったものは、重過失と判断される危険がある例となっています。

最近では、運転中にスマートフォンアプリをいじっているというのも、重過失になり得るので注意が必要です。

こういった重過失があった場合、過失相殺率に大きな影響を及ぼします。

しかし、過失相殺というのは、そもそも話し合いで決められるものであるため、しっかりとした知識が求められます。

重過失があった場合でも、話し合い次第で過失相殺の割合は大きく左右されるため、少しでも有利に進めるために、専門知識、そして実績豊富な当事務所にぜひご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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