交通事故は裁判になることも|訴訟提起の方法や手続きの流れを解説

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求できます。

損害賠償の金額は、加害者(または任意保険会社)との示談交渉によって決まりますが、被害者と加害者の主張が食い違っている場合には、示談交渉が決裂することも考えられます。

その場合には、民事裁判(訴訟)の手続きを通じて、加害者に対する損害賠償請求を行いましょう。

今回は、交通事故の損害賠償請求訴訟を提起する方法や、訴訟手続きの流れなどを解説します。

交通事故の示談交渉が決裂した場合は裁判になる

民事裁判(訴訟)は、当事者同士の話し合いでは解決できない法律トラブルを、裁判所の判決によって強制的に解決する手続きです。

交通事故の示談交渉が決裂したケースは、まさに当事者同士の話し合いで解決できない法律トラブルが生じている状態と言えます。

そのため、裁判所に訴訟を提起することが、当事者に残された最後の紛争解決手段となるのです。

交通事故の民事訴訟を提起するには?訴状の提出について

交通事故の損害賠償請求訴訟を提起するには、裁判所に訴状を提出する必要があります。

訴状の記載事項は?

訴状には、以下の事項の記載が必須とされています(民事訴訟法133条2項)。

  • ①当事者および法定代理人:住所と氏名によって、原告と被告を特定して記載します。当事者が未成年の場合には、法定代理人の住所と氏名についても記載しておきます。
  • ②請求の趣旨および原因:裁判所に対して求める判決の内容と、その判決の根拠となる要件事実を記載します。

なお上記以外にも、主張内容を明確化して裁判所にわかりやすく伝えるため、事件の細かい経緯などが記載されることが多いです。

訴状の提出先は?

交通事故に関する損害賠償請求訴訟の場合、訴状の提出先は、以下のいずれかの裁判所から選択することができます。

  • ①被告の普通裁判籍(住所・居所・最後の住所)を管轄する裁判所(民事訴訟法4条1項)
  • ②原告の住所地を管轄する裁判所(同法5条1号)
  • ③交通事故があった地を管轄する裁判所(同条9号)

基本的には、原告自身の住所地を管轄する裁判所に訴状を提出するのが便利でしょう。

その後も裁判所に通うことを考慮すると、できるだけアクセスのよい裁判所を選ぶことをお勧めいたします。

なお、請求額が140万円以下の場合は、地方裁判所・簡易裁判所のどちらにも訴訟を提起できます。これに対して、請求額が140万円を超える場合には、必ず地方裁判所の管轄となる点に留意しておきましょう。

訴訟提起時のその他の必要書類・費用

訴訟提起の際に費用となる主な書類は、訴状の正本および副本、さらに証拠書類の写しです。

証拠書類については、事故の状況や損害の額がわかるものを準備する必要があります。損害賠償請求権の発生要件に留意しながら、弁護士とともに丁寧な準備を行いましょう。

さらに訴訟提起の際には、裁判所に納付する手数料と、送達を行う際に必要となる郵券を裁判所に納めなければなりません。

なお、手数料は訴額に応じて異なり、以下の裁判所ページで確認できます。

参考:手数料|裁判所

訴訟提起後の手続きの流れ

交通事故の損害賠償請求訴訟を提起した後は、大まかに以下の流れで手続きが進行します。

口頭弁論期日|当事者が互いに主張・立証を行う

口頭弁論期日では、裁判所の公開法廷において、原告・被告双方が主張・立証を行います。立証は原則として、証拠を用いて行うことが必要です。

裁判所は、双方の主張・立証を踏まえて、請求の要件が満たされているかどうかを確認・審査します。裁判所が心証形成を完了するまで、口頭弁論期日はおおむね1か月ごとに、何度でも繰り返されます。

弁論準備手続|争点の整理を行う

論点が多岐にわたる場合には、口頭弁論期日に先立って「弁論準備手続」が行われることがあります(民事訴訟法168条)。

弁論準備手続では、原告・被告間で争いのない事実と、争いのある事実が振り分けられ、争いのある事実のみに争点を絞る作業が行われます。

和解の試み|当事者の合意により訴訟を終了させることも可能

裁判所は、訴訟の途中で当事者に対して和解案を提示し、合意による訴訟の終了を提案する場合があります(民事訴訟法89条)。

裁判所の和解案を受け入れるかどうかは、当事者の自由な判断に委ねられます。弁護士にご相談のうえで、判決に至った場合にどのような結論が見込まれるかを踏まえて、和解案を受け入れるのがよいかどうかを慎重に検討しましょう。

判決|裁判所が結論を示す

口頭弁論期日における審理が尽くされた段階で、裁判所は判決を言い渡し、訴訟の結論を示します。原告の請求が全額認められる場合(全部認容)、一部のみ認められる場合(一部認容)、全く認められない場合(請求棄却)と、判決のパターンはさまざまです。

判決の内容は、公開法廷において言い渡されたうえで(民事訴訟法250条)、判決書が当事者双方に送達されます(同法255条1項)。

控訴・上告|上級裁判所に再度の審理を求める

裁判所の判決に対しては、上級裁判所に控訴することができます(民事訴訟法281条1項)。控訴期間は、判決書の送達を受けた日から2週間です(同法285条)。

また、控訴審判決に対しては、同じく判決書の送達を受けた日から2週間に限り、さらに上級の裁判所への上告が認められています(同法311条1項、313条)。

適法な控訴・上告が期間内に行われなかった場合、または上告審判決が言い渡された場合、判決は確定します。確定判決は、強制執行の債務名義として用いることができます(民事執行法22条1号)。

したがって、原告の請求を認容する判決が確定した場合、それ以降、原告はいつでも強制執行を申し立てることができるようになります。

交通事故の損害賠償請求訴訟は弁護士にご相談ください

訴訟手続きでは、書面の作成・証拠の準備・口頭弁論期日での主張立証など、煩雑な手続きを慎重にこなしていくことが求められます。

交通事故の示談交渉が訴訟に発展してしまう可能性は常にありますので、示談交渉の段階から弁護士にご依頼いただくのがお勧めです。

弁護士は、示談交渉の早期解決を目指しつつ、加害者側の主張が不合理であれば、訴訟も辞さない姿勢で毅然と交渉を行います。

交通事故の被害に遭ってしまい、加害者への損害賠償請求をご検討中の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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