交通事故の示談がまとまらないのはなぜ?停滞の理由と対処法を解説

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

弁護士に交通事故の示談交渉を依頼したものの、なかなか示談交渉がまとまらないケースもよく見受けられます。

今回は、交通事故の示談交渉がまとまらない原因と対処法を検討してみましょう。

交通事故の示談がまとまらない原因は誰にある?解決方法は?

交通事故の示談交渉がまとまらない原因は、以下の4パターンに大別されます。

パターン別の解決方法とともに見ていきましょう。

パターン①|加害者本人に原因がある場合

加害者が任意保険に加入していない場合、被害者は、加害者本人との間で示談交渉を行います。

この場合、加害者本人に関する以下の事情が、示談の障害となっているケースが多いです。

(1)加害者にお金がなく、示談金を支払えない

本当に加害者がお金を持っていない場合、被害者は加害者から損害賠償を受けることができません。被害者としては、ひとまず自賠責保険から一定の補償を受けておきましょう。

ただし、加害者が「お金がない」とウソをついている可能性もあります。

もし加害者のウソが疑われる場合には、債務名義(訴訟の確定判決など)を取得したうえで、裁判所に「財産開示手続」(民事執行法196条以下)や「第三者からの情報取得手続」(同法204条以下)を申し立てましょう。

加害者が所有する財産に関して、何らかの情報を得られる可能性があります。

(2)加害者が相場よりも著しく低い示談金を提示している

交通事故の示談金額は、被害者に発生した損害の実額をベースとして決定するのが原則です。

被害者の損害額は、裁判例を踏まえた「弁護士基準」に基づいて算出すべきです。

しかし、法的な知識がないなどの理由により、裁判例を踏まえた相場よりも、加害者が著しく低い示談金額を提示してくることがあります。

もし加害者が不合理な示談金額に固執するようであれば、後述する紛争解決手続きの利用をご検討ください。

パターン②|加害者側の任意保険会社に原因がある場合

加害者側の任意保険会社が示談交渉の相手となるケースでも、任意保険会社側に示談交渉を停滞させる原因が存在することはよくあります。

なぜなら任意保険会社は、弁護士基準を著しく下回る示談金額を提示してくるのが常だからです。

任意保険会社が提示する示談金額は、各保険会社が独自に設定する「任意保険基準」によって計算されています。

しかし、任意保険基準に基づく示談金額は、客観的かつ公正な弁護士基準に比べると、5~6割程度にとどまるケースが多いです。

弁護士基準による適正な保険金を受け取りたい場合には、弁護士に示談交渉を依頼することをお勧めいたします。

弁護士が示談交渉に参加することで、任意保険会社側の交渉態度が軟化し、弁護士基準に近い金額での示談がまとまる可能性が高まります。

パターン③|被害者本人に原因がある場合

示談交渉が停滞している原因は、被害者本人の側に存在する場合もあります。

その典型例は、被害者が法的な相場よりも著しく高額な示談金を請求しているケースです。被害者の代理人弁護士は、最終的に依頼者である被害者本人の意向を尊重せざるを得ない立場にあります。

そのため、被害者が相場よりも高額な示談金に固執している場合、被害者の主張どおりに示談金を請求せざるを得ないのです。

特に任意保険会社は、社内稟議等の関係上、法的な相場とはかけ離れた示談金を支払ってくれることはまず期待できません。

代理人弁護士と十分に協議したうえで、弁護士基準をベースとした合理的な金額の請求を行うことが望ましいでしょう。

パターン④|被害者の代理人弁護士に原因がある場合

被害者の代理人弁護士の交渉の仕方や能力に問題があり、示談交渉が停滞しているというケースもあります。

その場合は、弁護士の解任・変更を含めた改善策を検討すべきでしょう。

ただし、別の弁護士に依頼し直すとなると、改めて着手金の支払いが発生する点に注意が必要です。

また、従前依頼していた弁護士に支払った着手金は、原則として戻ってこない点にも気を付けましょう。

示談交渉がまとまらない場合に利用できる法的手続き

交通事故の示談交渉がまとまらない場合には、法的手続きによって解決を目指すことも検討すべきです。

交通事故の事案において、利用できる法的手続きとしては、主に以下の3つが挙げられます。

裁判外紛争解決手続(ADR)

裁判外紛争解決手続(ADR)とは、裁判所以外の第三者機関が仲介者となって、紛争当事者間の調整を図り、和解を目指すための手続きです。

交通事故に関して利用できる裁判外紛争解決手続(ADR)には、主に以下の2つがあります。


①交通事故紛争処理センターの紛争処理手続

参考:公益財団法人交通事故紛争処理センターHP

②日弁連交通事故相談センターの示談あっせん

参考:公益財団法人日弁連交通事故相談センターHP


裁判外紛争解決手続(ADR)の主なメリットとしては、

  • 無料で利用できる点
  • 手続きが比較的簡単である点
  • 柔軟な紛争解決が図れる点

などが挙げられます。

ただし、

  • 加害者が自動車または二輪車である場合に利用が限られる点
  • 紛争解決には両当事者の同意が必要となる点

などには注意が必要です。

民事調停

民事調停は、当事者間の主張を調整し、和解による紛争解決を目指すことを目的とした、裁判所で開催される手続きです。

民事調停では、「調停委員」という有識者が、被害者・加害者双方の主張を公平に聞き取ります。そのうえで、適宜双方に妥協を提案し、少しずつ当事者間の主張のギャップを埋めていきます。

最終的に裁判官が提示する調停案に対して、被害者・加害者双方が同意したら、調停成立・紛争解決となります。

民事調停も、裁判外紛争解決手続(ADR)と同様に、和解を目指す手続きであることから、柔軟な解決が期待できます。

また、成立した調停内容を記した調停調書は、債務名義としての効力を有するため、スムーズに強制執行ができる点もメリットです。

ただし、

  • 申立てに費用がかかる点
  • 紛争解決には両当事者の同意が必要となる点

などには注意しましょう。

訴訟

話し合いによる解決の余地がない場合には、裁判所に訴訟を提起することも考えられます。

訴訟では、裁判所の判決が被害者・加害者の双方を拘束するため、強制的に交通事故紛争を解決できます。裁判例に従った公正な金額の損害賠償を認めてもらえる点も、訴訟の大きなメリットです。

ただし、訴訟は長期化しやすく、専門的かつ煩雑な対応が要求されるため、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

交通事故の損害賠償は弁護士にご相談ください

示談交渉がなかなかまとまらない場合、その原因がどこにあるのかを把握したうえで、状況に合わせた対応をとることが重要です。

他の弁護士にセカンドオピニオンを求めることも有効になり得ますので、一度当事務所までご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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