追突事故の慰謝料の計算方法|増額を求める際のポイントは?

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

追突事故によってけがをした場合、後遺症が残った場合、さらに死亡した場合には、それぞれ加害者に対して慰謝料を請求できます。

正当な損害賠償を獲得するためにも、客観的な慰謝料がどのように計算されるのか、増額を求める際に気を付けるべきポイントは何なのかについて、理解を深めておきましょう。

追突事故で認められる3種類の慰謝料

追突事故の被害者が、加害者に請求できる可能性のある慰謝料は、以下の3種類です。

入通院慰謝料

けがの治療のために入院や通院を余儀なくされたことにつき、精神的な苦痛を補填する趣旨の慰謝料です。

後遺障害慰謝料

交通事故によるけがが完治せず、後遺症が残ってしまった場合に、後遺症に伴う精神的な苦痛を補填する趣旨の慰謝料です。

死亡慰謝料

交通事故で被害者が死亡してしまった場合に、死亡した被害者の家族が、加害者に対して請求できる慰謝料です。

次の項目から、それぞれの慰謝料の具体的な計算方法を解説します。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、入院期間および通院期間に応じて決定されます。

入通院慰謝料の計算には、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)の別表Iまたは別表II※を用いるのが一般的です。

※別表Iは骨折などの重症時に、別表IIはむちうち症・打撲・ねん挫などの軽傷時に用いる

【別表第1】
入院期間 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
通院期間 0 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 250 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

 

【別表II】
入院期間 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
通院期間 0 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 023 203
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

たとえば骨折をしたケースでは、重症なので別表Iを参照します。

このとき、1か月間入院した後、4か月間通院した場合には、「入院期間1月」と「通院期間4月」の交点を参照し、入通院慰謝料は130万円となります。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は、後遺症の部位・内容・程度に応じて認定される「後遺障害等級」に応じて、金額の目安が存在します。

後遺障害等級は1級から14級までとなっており、それぞれに対応する後遺障害慰謝料の金額は以下のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料
1級 2,800万円
2級 2,370万円
3級 1,990万円
4級 1,670万円
5級 1,400万円
6級 1,180万円
7級 1,000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

正当な金額の後遺障害慰謝料を獲得するためには、適正な後遺障害等級の認定を受けることが大切です。

死亡慰謝料の計算方法

交通事故の被害者が死亡した場合、家族は被害者本人の慰謝料請求権(民法709条)を相続します。

また家族自身も、近親者を失ったことについて固有の慰謝料請求権を取得します(民法711条)。

被害者の家族は、この2つの慰謝料の総額を、加害者に対して「死亡慰謝料」として請求することが可能です。死亡慰謝料の総額は、被害者の立場に応じて、おおむね以下の金額の範囲で決定されます。

  • 一家の支柱となる者:2700万円~3100万円
  • 一家の支柱に準ずる者(配偶者など):2400万円~2700万円
  • その他(独身者、子どもなど):2000万円~2500万円

慰謝料計算の際に理解しておくべき3つの基準

入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料については、計算方法に関して「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの基準が存在します。これまで解説してきた計算方法は、いずれも「弁護士基準」によるものです。

それ以外の基準で慰謝料を計算すると、被害者にとって不利な低い金額となってしまうので注意しましょう。

各基準の概要は、以下のとおりです。

自賠責保険基準

自賠責保険から支払われる保険金を計算するための基準で、法令によって定められています。自賠責保険は、被害者にとって最低限の補償を確保することを目的としているため、3つの基準の中で、算出される金額はもっとも低額となります。

任意保険基準

加害者が加入している任意保険会社が、独自に定めている損害賠償額算定の基準です。各社独自の基準であるため、基本的には非公開となっています。任意保険会社には、保険料の支払額を低く抑えたいという意図が存在します。

そのため、自賠責保険基準よりはやや高額であるものの、客観的な損害額には程遠い金額が算出されることが多いです。

弁護士基準

過去の裁判例に基づき、客観的な損害額を算定することを目的とした基準です。3つの基準の中で、算出される賠償額はもっとも高額になります。損害賠償の大原則は、客観的に生じた損害の全額を補填するというものです。

そのため被害者は、本来、弁護士基準による損害賠償を受けられて然るべきといえます。示談交渉の際に、加害者や任意保険会社が低い金額の慰謝料を提示してきた場合でも、毅然として弁護士基準に基づく慰謝料の支払いを請求しましょう。

慰謝料の増額には弁護士基準での請求が大切|弁護士にご相談ください

交通事故の被害者が、正当な金額の慰謝料を獲得するためには、弁護士基準に基づいて慰謝料を請求することが大切です。

しかし、特に加害者側の任意保険会社との間で示談交渉を行う場合、提示される慰謝料額は、任意保険基準で計算されたものである可能性が高いでしょう。

被害者としては、そこで任意保険会社に言いくるめられることなく、堂々と「弁護士基準に基づく慰謝料額を支払うべきである」と主張できるかどうかがポイントになります。弁護士に示談交渉をご依頼いただければ、裁判例に依拠した弁護士基準の正当性を強く訴えることで、加害者側の任意保険会社と対等以上に交渉を進めることが可能です。

慰謝料等の増額は当事務所がもっとも注力している分野であり、増額した例が多数あります。詳しくは解決事例をご覧ください。

交通事故の被害に遭い、慰謝料その他の賠償額を少しでも増やしたいとお考えの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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