交通事故の損害項目一覧|被害者が請求できるお金の種類を解説

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

交通事故の被害に遭った場合、加害者に対して、非常に多岐にわたる項目の損害賠償を請求できます。

被害者の方は、正当な補償を得るためにも、弁護士に相談しながら漏れのないように請求を行いましょう。

けがの治療に関する8つの損害賠償項目

交通事故によりけがをした場合、けがの治療に関連して、以下の8種類の損害賠償を請求できる可能性があります。

治療費

けがの治療のために、医療機関に対して支払った診療費・入院費などの費用です。

治療の必要性が認められる限り、実費全額が損害賠償の対象となります。

通院交通費

医療機関に通院する際にかかった交通費です。基本的には公共交通機関(電車、バスなど)の料金となりますが、必要性が認められる場合にはタクシー代なども損害賠償の対象となります。

また、自家用車を用いて通院した場合には、走行距離に応じて一定の通院交通費が補償されます。

装具・器具購入費

けがの治療・リハビリ・日常生活の補助などを目的とした、装具や器具の購入費用です。

義歯・義手・義足・眼鏡・車いす・コルセット・サポーターなど、あらゆる種類の装具・器具の購入費用が賠償の対象となります。

付添費用

被害者本人に家族が付き添った場合、その間仕事などができなくなることに伴い、付添費用が損害賠償の対象となります。

また、職業付添人に付き添いを依頼した場合、依頼費用の全部または一部の賠償が認められる可能性があります。

介護費用

重度の身体障害が残り、将来にわたって介護が必要となった場合、介護費用が損害賠償の対象となります。

家族が介護を行う場合、および職業介護人を雇う場合のどちらについても、損害賠償が認められます。介護費用は、トータルすると非常に高額になることが多い損害賠償項目の一つです。

入院雑費

入院中の雑費購入費用として、日額1500円程度が認められます。

休業損害

けがの治療のための入院や通院により、仕事ができない期間が発生した場合、その期間中に得られなかった収入が損害賠償の対象となります。

基本的には過去の実収入をベースとして計算されますが、専業主婦(主夫)で収入のない方でも、賃金センサスに基づく平均的な収入額をベースとして、休業損害の賠償を受けることができます。

入通院慰謝料

入院や通院を強いられたことに伴い、受けた精神的苦痛に対する賠償を受けられます。

「傷害慰謝料」とも呼ばれています。入通院慰謝料の金額は、入通院の期間や実日数に応じて計算されます。

後遺障害に関する2つの損害賠償項目

交通事故によるけがを治療しても、完治にまでは至らず、一定の後遺症が残ってしまうケースがあります。交通事故による後遺症には、申請により「後遺障害等級」が認定されます。

認定された後遺障害等級に基づき、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」の損害賠償を請求することが可能です。

後遺障害慰謝料

後遺症(後遺障害)が残ったことに伴い、被った精神的苦痛が損害賠償の対象になります。

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて、以下のとおり目安が定められています(弁護士基準)。

後遺障害等級 弁護士基準による後遺障害慰謝料
1級 2,800万円
2級 2,370万円
3級 1,990万円
4級 1,670万円
5級 1,400万円
6級 1,180万円
7級 1,000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

後遺障害逸失利益

後遺症(後遺障害)が残った場合、身体の機能が失われることに対応して、労働能力の全部または一部が失われると考えられています。

この労働能力の喪失により、将来得られるはずだったのに失われた収入(逸失利益)が、損害賠償の対象となります。後遺障害逸失利益の金額は、後遺障害等級ごとに定められた労働能力喪失率を用いて計算されます。

後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

死亡に関する3つの損害賠償項目

交通事故によって被害者が死亡した場合、被害者の家族は加害者に対して、以下の3つの損害賠償を請求できます。

死亡慰謝料

交通事故で死亡した被害者の家族は、被害者の損害賠償請求権(民法709条)を相続するとともに、家族自身も固有の損害賠償請求権を取得します(民法711条)。

2つの損害賠償請求権の総額については、被害者の家庭内における立場によって、以下のとおり目安が存在します。

  • 一家の支柱となる者:2700万円~3100万円
  • 一家の支柱に準ずる者(配偶者など):2400万円~2700万円
  • その他(独身者、子どもなど):2000万円~2500万円

死亡逸失利益

交通事故によって死亡した場合、その後将来にわたって得られるはずだった収入がすべて失われます。

そのため、後遺障害逸失利益と同様に、将来得られるはずだった収入(逸失利益)が損害賠償の対象となります。

葬儀費用

交通事故により死亡した被害者の葬儀にかかる費用も、法律上、加害者が賠償すべきであると解されています。

一般的には150万円程度を上限として葬儀費用として認められますが、被害者の社会的地位などによっては、さらに高額の葬儀費用が認定されるケースもあります。

交通事故の損害賠償は弁護士にご相談ください

交通事故の被害に遭った場合、請求できる損害賠償の項目は、非常に多岐にわたります。

また、それぞれの損害項目に関する計算方法も複雑なので、正確な金額を導き出すためには、専門的知識が必要不可欠です。

そのため、被害者の方やそのご家族が、加害者に対して正当な損害賠償を請求するためには、弁護士のサポートが欠かせません。

弁護士にご相談いただければ、請求可能な損害項目を漏れなくリストアップしたうえで、金額の計算から加害者側との示談交渉まで、被害者やそのご家族を一括してサポートいたします。

交通事故の被害に遭い、大変な状況に置かれてしまった方やそのご家族は、お早めに弁護士までご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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