交通事故で骨折した場合の後遺障害の種類

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

交通事故で骨折して、さらに後遺症が残ってしまった場合、当該後遺症については、自賠責保険の後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

では、交通事故で骨折した場合、後遺障害等級認定がなされる可能性のある後遺障害はどのようなものでしょうか。

上記の場合、後遺障害等級認定がなされる可能性のある後遺障害は、神経障害、運動障害、欠損障害、機能障害、変形障害、短縮障害の6つに分けられます。6つの後遺障害では、それぞれ等級がいくつか定められており、その症状や程度によって等級が変わってきます。

以下においては、6つの後遺障害について、順次、説明することとします。

6つの後遺障害

用語の意味は、次のようになります。

脊柱とは、頚椎、胸椎、腰椎のことです。
上肢の3大関節とは、肩関節、ひじ関節、手関節のことです。
下肢の3大関節とは、股関節、ひざ関節、足関節のことです。
長管骨とは、手足を構成する細長い形状の比較的大きな骨全体のことで、上肢では上腕骨、橈骨、尺骨、下肢では大腿骨、脛骨、腓骨になります。
上肢又は下肢の用を全廃したもの」とは、それぞれの3大関節のすべてが強直したものをいいます。
関節の用を廃したもの」とは、関節が強直したものや人工関節を挿入置換えしたものをいいます。
偽関節とは、骨折部が癒合せず、異常な可動を示す状態(癒合不全)のものをいいます。

なお、下記の等級は、自賠法施行令の別表第2の等級を意味しますが、同別表第2については単に「別表」と表記します。

神経障害

神経障害とは、骨折部位に痛みやしびれが残ってしまう障害のことをいいます。

後遺障害 等級
局部に頑固な神経症状を残すもの(13号) 12級
局部に神経症状を残すもの(9号) 14級

運動障害

運動障害とは、頸部や胸腰部が強直したり、動きにくくなってしまう障害のことをいいます。

後遺障害 等級
脊柱に著しい運動障害を残すもの(5号) 6級
脊柱に運動障害を残すもの(2号) 8級

欠損障害

欠損障害とは、上肢、手指、下肢又は足指の全部又は一部を失ってしまう障害のことをいいます。

なお、別表の備考によれば、「手指を失ったものとは、おや指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいう」、「足指を失ったものとは、その全部を失ったものをいう」とされています。

後遺障害 等級
両上肢をひじ関節以上で失ったもの(3号)、両下肢をひざ関節以上で失ったもの(5号) 1級
両上肢を手関節以上で失ったもの(3号)、両下肢を足関節以上で失ったもの(4号) 2級
両手の手指の全部を失ったもの(5号) 3級
1上肢をひじ関節以上で失ったもの(4号)、1下肢をひざ関節以上で失ったもの(5号)、両足をリスフラン関節以上で失ったもの(7号) 4級
1上肢を手関節以上で失ったもの(4号)、1下肢を足関節以上で失ったもの(5号)、両足の足指の全部を失ったもの(8号) 5級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの(8号) 6級
1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの(6号)、1足をリスフラン関節以上で失ったもの(8号) 7級
1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの(3号)、1足の足指の全部を失ったもの(10号) 8級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの(12号)、1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの(14号) 9級
1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの(9号) 10級
1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの(8号) 11級
1手のこ指を失ったもの(9号)、1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの(11号) 12級
1手のおや指の指骨の1部を失ったもの(7号)、1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの(9号) 13級
1手のおや指以外の手指の指骨の1部を失ったもの(6号) 14級

機能障害

機能障害とは、上肢又は下肢の関節が強直したり、上肢・手指又は下肢・足指の関節の可動域が制限されてしまう障害のことをいいます。

なお、別表の備考によれば、「手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう」、「足指の用を廃したものとは、第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節(第1の足指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう」とされています。

後遺障害 等級
両上肢の用を全廃したもの(4号)、両下肢の用を全廃したもの(6号) 1級
両手の手指の全部の用を廃したもの(6号) 4級
1上肢の用を全廃したもの(6号)、1下肢の用に全廃したもの(7号) 5級
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの(6号)、1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの(7号) 6級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの(7号)、両足の足指の全部の用を廃したもの(11号) 7級
1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの(4号)、1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(6号)、1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(7号) 8級
1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの(13号)、1足の足指の全部の用を廃したもの(15号) 9級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの(7号)、1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10号)、1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(11号) 10級
1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの(9号) 11級
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(6号)、1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(7号)、1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの(10号)、1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの(12号) 12級
1手のこ指の用を廃したもの(6号)、1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの(10号) 13級
1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの(7号)、1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの(8号) 14級

変形障害

変形障害とは、背柱や長管骨に外部から見て分かる程度の変形を残したり、上肢や下肢に偽関節を残してしまう障害のことをいいます。

後遺障害 等級
脊柱に著しい変形を残すもの(5号) 6級
1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの(9号)、1下肢に偽関節を
残し、著しい運動障害を残すもの(10号)
7級
1上肢に偽関節を残すもの(8号)、1下肢に偽関節を残すもの(9号) 8級
脊柱に変形を残すもの(7号) 11級
長管骨に変形を残すもの(8号) 12級

短縮障害

短縮障害とは、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さが健側の下肢と比較して短くなってしまう障害のことをいいます。

後遺障害 等級
1下肢を5センチメートル以上短縮したもの(5号) 8級
1下肢を3センチメートル以上短縮したもの(8号) 10級
1下肢を1センチメートル以上短縮したもの(8号) 13級

まとめ

交通事故で骨折を負い、後遺症が残った場合、後遺障害等級認定がなされる可能性のある後遺障害は、神経障害、運動障害、欠損障害、機能障害、変形障害、短縮障害の6つに分けられます。

後遺障害は、その該当する等級によって、得られる損害賠償額が違ってきますので、この点においては、弁護士による専門的サポートは大きな力となります。

交通事故の骨折で後遺症が残った方は、適切な損害賠償金を取得するためにも、お気軽に当事務所にご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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